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お役立ちコラム

総合食料品会社での採用事例

前回のコラムでは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で認められる文系の業務について取り上げました。
今回は総合食料品会社での採用事例を取り上げます。

■総合食料品会社での採用事例
総合食料品店(いわゆる「総合スーパー」)が日本の大学を卒業した外国人留学生を新卒採用した事例です。どのような業務内容や雇用条件なら在留資格「技術・人文知識・国際業務」が許可されるのか参考にしていただければと思います。(下記解説は法務省のHPで公表されている事例を深掘り解説したものです)

●申請の概要
総合食料品店が本社の総合職(雇用の期間定めなし)として日本の大学の文学部卒の留学生を採用。
採用当初の2年間はスーパーマーケットにて実務研修(商品の陳列、レジ打ち、接客、現場における顧客ニーズ等の修得)に従事する。
日本人の大卒者と同様に2年の研修修了後本社の営業部門や管理部門、グループ内の貿易会社等において幹部候補者として営業や海外業務に従事する。

●審査のポイント
上記の申請は許可になり無事に入社することができました。入管がこの申請で注目したのは下記の3点です。
1.本社採用か?
2.入社後の研修の期間と対象者
3.研修修了後の配属先とそこでの業務

一つずつ見ていきたいと思います。一つ目のポイントは総合職として本社採用されており、各店舗で採用された一般職ではなかったという点です。総合職として本社採用されているということは幹部候補としての採用と判断され、研修後の業務は在留資格「技術・人文知識・国際業務」の中の“人文知識”カテゴリーに該当する「一定の水準以上の業務」であるとみなされる可能性が高くなります。

二つ目のポイントは入社直後の現場研修の期間と対象者です。現場研修は原則在留資格に該当しない業務と判断されますので、その会社で予定されている雇用期間の大半が研修とみなされる場合は不許可になる可能性が高くなります。今回は「雇用の期間定め無し」という雇用契約でしたので、当初2年間店舗での研修を行ったとしても「雇用期間の大半が研修」という状態にはならないと判断されました。言い換えると、有期雇用の場合は予定雇用期間と研修期間のバランスを慎重に考慮する必要がある、ということになります。
加えて、日本人新卒採用者もこの研修の対象になっているということもプラスとなりました。つまり、研修の内容が日本人大卒社員と外国人大卒社員で異なる場合は、合理的な理由があることを示す必要があります。例えば、外国人社員向けの研修には日本語研修が上乗せされているというという違いであれば合理性があると判断されると思われます。

三つ目のポイントは研修修了後の配属先とそこでの業務です。一つ目のポイントと関連しますが、研修修了後に「本社の営業部門や管理部門」や「グループ内の貿易会社等」に配属され、営業や海外取引業務など在留資格で認められる業務に従事することが確約されていることが許可のポイントになりました。ですから、研修修了後、引き続き店舗で勤務する、または選抜された者だけが本社の営業部門等での在留資格に該当する業務に従事する、というようなキャリアステッププランの場合は不許可となる可能性があります。

●ワンポイントアドバイス
ということで、いわゆる総合スーパーで大卒の外国人を在留資格「技術・人文知識・国際業務」で雇用する場合の許可のポイントをまとめてみると次のようになります。
・本社総合職採用であること
・入社後の研修内容と期間は日本人大卒社員と差異を設けないこと
・研修修了後の配属先が本社等でありそこでの業務が在留資格に該当する活動であること

各店舗での採用や業務が必ず不許可になるとは言えませんが、そのような採用を検討しておられる場合は、入社後の研修の内容や期間、研修修了後の業務内容を明確にしたうえで事前に出入国在留管理局や専門の弁護士・行政書士に相談されることをおすすめします。

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