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どんな業務が不許可になるのか?~製造業の事例から学ぶ~

前回のコラムではどんな理系の業務が在留資格「技術・人文知識・国際業務」で許可になるのかをお伝えしました。
今回は、どんな業務が不許可になってしまうのか?そのあたりをお話しします。
今回はまず結論からお伝えします。
それは「同じ職種でも会社によって審査結果が異なる場合がある」ということです。

とある製造業の事例で考えてみたいと思います。

●申請の概要
金属工作機械製造業の会社が専門学校でロボット・機械学科を専攻(工業専門課程)した留学生を採用しました。
この留学生の専門学校での履修科目は、基礎製図・CAD実習・工業数理・材料力学・電子回路・プロダクトデザイン等です。
入社後の業務内容として、初年度研修の後,機械の精度調整,加工設備のプログラム作成,加工工具の選定,工作機械の組立作業等に従事と記載し入管に申請を行いました。

●審査の経緯
上記のような内容で申請をしたところ、入管から「同社において同様の業務に従事する他の日本人従業員の学歴,職歴,給与等について」説明するよう求められました。
追加の説明・資料を求められたことになります。
会社側の回答は「同一の業務に従事するその他の日本人は,日本の理工学部を卒業した者であり,また,同一業務の求人についても,大卒相当程度の学歴要件で募集しており,給与についても申請人と同額が支払われている」というものでした。

●審査のポイント
上記の事例は許可という結果になりましたが、実は入管がどのような業務が不許可になるかを示している事例でもあります。
入管から追加の説明を求められたということは、審査官が「機械の精度調整,加工設備のプログラム作成,加工工具の選定,工作機械の組立作業等」の業務が許可できる業務かを当初の申請資料だけでは判断できなかったということになります。
ここに書かれたこれらの業務は、いわゆるNC旋盤やマシニングセンタのオペレーター(プログラム作成含)と考えられます。

なぜ入管は判断に迷ったのでしょうか?
それはこれらの業務は、会社によっては工業高校卒の人材や技能実習生が従事している場合もあり、“一定水準以上の専門的な知識や技術を使う業務”なのか、“大学等で学ぶ知識や技術を使う業務”なのかを判断するためには当初会社が提出した資料では十分な説明がなされていなかったためです。

ではなぜこの会社は許可になったのでしょうか?
それは社内で同一業務に従事する日本人社員が理系の大卒者であり、求人も大卒程度の学歴で募集していたためでした。
つまりこの会社のNC旋盤やマシニングセンタのオペレーター業務は“大学等で修得する知識や技術を使う業務”であると会社がみなしていたために許可になったということになります。
言い換えると同一業務に従事するのが高卒者や実務歴が少ない社員等である場合は不許可になっていた可能性があります。

●まとめ
この事例から同じ業務であっても許可になるか不許可になるかは各会社で異なる、ということがお分かりいただけるかと思います。
実際に当社にも「近所の会社が許可になったのと同じ業務で不許可になった」という相談をいただくことがあります。
ポイントは、高卒社員、実務歴が少ない社員、技能実習生などが従事している業務は不許可になる(在留資格「技術・人文知識・国際業務」には該当しないと判断される)可能性があるということです。

もちろん、大卒等の日本人社員がいない部署や業務でもこの在留資格が許可されている事例もあります。
大切な点は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」にあてはまる業務かどうか(専門的な表現を使うと、該当性のある業務かどうか)の判断は職種(職種名)で決まるのではなく、“その会社でのその職種(業務)が一定水準以上の専門的な技術や知識を必要とするもの”といえるかどうかによって決まるということになります。
そのため、採用担当者による丁寧な業務内容の説明書が必要になる場合もあります。

“同一職種でも会社によって許可・不許可の入管の判断が異なる”という理由をお分かりいただけたでしょうか。
採用担当者は、採用前・受け入れ前にこの点をご確認いただければと思います。
「技術・人文知識・国際業務」を持つ派遣外国人を受け入れる場合も同様ですので、上記ポイントに留意して受け入れの可否を判断いただければと思います。
また、すでに「技術・人文知識・国際業務」を持つ人材が従事している業務や所属する部署に技能実習生を受け入れる場合は、既存の外国人社員の在留資格への影響の有無を監理団体や入管とよく協議したうえで受け入れの可否を決めていただければと思います。

●ワンポイントアドバイス
今回のワンポイントアドバイスは、『自社の業務で「技術・人文知識・国際業務」の人材を採用できるかどうかは、社内の同じ業務に従事する日本人社員の学歴を見れば分かる』とさせていただきます。

次回のコラムでは「人文知識」カテゴリーの業務に注目し、どんな文系の仕事が許可になるのかをお伝えします。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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