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お役立ちコラム

技能実習生雇用企業が雇用調整助成金を使うときの注意ポイント

コロナウィルスの影響が拡大するにつれて外国人雇用企業の中にも雇用調整助成金の活用を検討しておられる場合もあるかと思います。今日は技能実習生を雇用しておられる企業がこの助成金を活用する際にご注意いただきたいポイントについてお伝えしたいと思います。

結論からお伝えすると雇調金を使ううえでの注意ポイントは下記3点です。
1.実習生に対しては、休業・教育訓練・出向のうち休業しか使えない
2.休業期間を慎重に検討する
3.休業させる前に必ず監理団体に相談する

まず給付要件として、事業主が労働者に対して①休業、②教育訓練又は③出向のいずれかを行うことになりますが、②の教育訓練については、技能実習生に対して実施するものは除外されます。③の出向についても、技能実習という性質上想定できませんので事実上使えないことになります。ということで技能実習生に対して使えるのは“休業”のみとなります。(なお、上記はあくまでも主要な要件であり、他の要件を含め、詳細や最新の運用については、厚生労働省HPをご参照下さい。)

続いての注意ポイントは、この休業を行うことにより技能実習法との関係で、「届出」や「変更認定」が必要になる場合がある、ということです。休業するということは当初計画していた実習が一部実施できなくなる可能性があります。そのため、休業等に係る変更後の技能実習計画の妥当性を外国人技能実習機構がチェックすることになります。そのための「届出」や「変更認定」になります。気を付けるべき実習時間数の削減は以下の3点です。なお「届出」は事後、「変更認定」は事前の申請が必要です。変更認定の場合は機構の認定を先に受けたうえで時間数の増減を実施する必要があります。

■月ごとの実習時間数
月ごとの実習合計時間数が80時間以上短縮(削減)される場合は、届出が必要になります。例えば、1日8時間実習を実施している企業の場合、10日以上休業する場合は届出が必要になるということになります。

■業務ごとの実習時間数
必須業務、関連業務及び周辺業務の具体的な業務ごとにみて、合計時間数を予定の50%以上に相当する時間数を変更する場合には変更認定が必要となります。25%以上50%未満に相当する時間数の変更の場合には届出が必要になります。

■年間の合計時間数(入国後講習+実習)
年間の合計時間数を予定の50%以上に相当する時間数を変更する場合には変更認定が必要になります。25%以上50%未満に相当する時間数を変更する場合には届出が必要になります。

上記3パターンに加えて、実習の「延べ期間」にも注意する必要があります。「延べ期間」とは「技能実習計画認定申請書」の8番に記入する“日本で実習を受ける期間”を指します。第1号実習生の場合は1年以内、第2号及び3号実習生の場合はそれぞれ2年以内で記載されています。この延べ期間を当初の予定から延長する場合には「変更認定」が必要になり、短縮する場合は「技能実習実施困難時届出」の提出が必要となります。例えば、実習3年目の実習生(2号実習生)に対して、2カ月休業させた後に、当初の予定通りの実習を実施する予定の場合「延べ期間」は「2年2カ月」となります。そのような場合は「変更認定」が必要になります。また、これにより実習に伴う在留期間を延長する必要がある場合は、地方出入国在留管理官署に在留期間の更新許可申請を行わなければなりません。

これらの「届出」や「変更認定」はすべて監理団体を通して機構に対して行いますので、上記に該当しそうなときには早めに監理団体に相談することをお勧めいたします。

また、雇用調整助成金とは直接関連しませんが、休業・売り上げの減少等により財務状況に大きな影響が出ている場合もあるかと思います。欠損金の有無、債務超過の有無等の財務的基盤いかんによっては、技能実習を継続して行わせる体制の整備要件(技能実習法9条6号、技能実習法施行規則12条1項13号)を満たさなくなっているとして、新規の技能実習計画認定を受けられなくなったり、最悪の場合は、既存の技能実習計画の認定取消しもないとは言い切れないことになります。このような場合は、早めに監理団体に相談し顧問税理士とともに今後の対応を検討することをお勧めいたします。

まとめますと、技能実習生を雇用している企業が雇用調整助成金を使う場合は、
1.実習生に対しては、休業・教育訓練・出向のうち休業しか使えない
2.休業期間を慎重に検討する
3.休業させる前に必ず監理団体に相談する

特に「変更認定」が必要な程度休業する場合には、まずは監理団体を通して機構に変更認定申請を行い、変更認定を受けたのちに休業の実施となりますので、計画的な休業が重要になります。「変更認定申請」ではなく「届出」にとどまる場合や届出すら不要な場合と考えられるときであっても、休業させる場合には、必ず事前に監理団体(と外国人技能実習機構)に相談することをお勧めいたします。

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