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「特定技能」の許可人数が少ない理由は?~その1

 前回のコラムでは、「特定技能」は5年間で最大約34万人、初年度だけで最大約4万7千人がこの在留資格を取得する(許可される)と試算されていた、とお伝えしました。しかし、昨年末時点で全国で1600名ほど、北陸3県で22名しか取得できていないという状況でした。
 この大きなギャップにはいくつかの要因がありますが、まず重要な点は、国は「5年間の最大受入れ見込数」として約34万人と言っているだけで、「必ず5年間で34万人受け入れます」と言っているわけではないということです。あくまで”最大”の”見込み数”として約34万人を提示しているだけです。報道や期待が少し独り歩きし結果的に大きなギャップを作ってしまったということはあるかと思います。

 といっても少ないことには変わりありませんのでこの背景を分析してみたいと思います。この点を考える上でのポイントは、特定技能人材の採用の入り口です。どのような経路で採用できるのかを見てみると少ない理由も見えてきます。特技能外国人の採用ルートは大きく4つあります。
1.海外に住む元技能実習生
2.海外に住む技能試験と日本語試験に合格した方
3.国内に住む現技能実習生
4.国内に住む技能試験と日本語試験に合格した方

 採用ルートごとに少ない理由を見ていきたいと思います。

 1の人材は条件が整えばすぐにでも日本に来たいという方も多いかと思いますが、母国(送り出し国)の労働許可がなければ出国できないという規定を作った国も多く、日本側が当初想定していた”企業と元実習生で雇用契約が締結できればすぐに来日”というわけにはいかなくなっているのが現状です。送り出し国側の許可については制度の整備が遅れており、内定を出しているのに来日してもらえないというもどかしい思いをしている企業も多いかと思います。
 また、今回の特定技能の制度は原則家族の帯同が不可(家族滞在ビザが出ない)ですから、元実習生の中にはすでに結婚したり子どもがいたりする方も多く今後5年間家族と離れて住むことに抵抗を感じる方も多くいます。
 
 2の人材については、そもそも海外での技能試験の実施がそれほど広がっていないため合格者そのものが少ないという事情があります。
 一方、すでに試験が実施されている国もあり分野(業種)によっては合格者も出ていますが、その合格者も上記1で書いたように送り出し国の許可制度の整備の遅れなどを理由として来日できていないという事情があります。

 今日は、採用ルート1と2の人材が少ない理由について見てきましたが、積極的な見方をすると、送り出し国の労働許可の準備が整い、海外での試験が増えてくる今後は特定技能として来日できる人材も増えてくると予想されます。

 少し長くなりましたので、上記3と4の人材の採用が伸び悩んでいる背景については次回のコラムでお伝えしたいと思います。

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