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お役立ちコラム

特定技能外国人の採用はホワイト企業の証明?~その2

 前回のコラムでは、特定技能外国人を採用する企業は、
1.就業規則に沿った労務管理が求められるため労働条件などの透明化が図られる
2.転職を防ぐために魅力ある労働環境の維持が求められる
という2点の理由により外国人社員・日本人社員双方にとって法的にも体感的にも働きやすい職場になっていくのではないかとお話ししました。

 前回の内容と少し矛盾しますが、申請実務をさせていただいている立場から申し上げると実は特定技能外国人の転職はそれほど簡単ではありません。その理由はこれまでのメルマガでお知らせしたとおり受け入れ企業に求められる要件が比較的高いためです。しかし、制度を ”転職可” とするだけで上記2のような効果が期待できます。また上記1を維持できているかは毎年入管にチェックされますので結果的に当初の労働環境の良さは維持される可能性が高いと思われます。実際当事務所に特定技能の申請依頼をしてくださる企業も、すでに社員の定着率が高かったり、社員の労働環境を今後改善していきたいと考えておられたり、仕事内容にやりがいや責任を感じることができる工夫をされていたりする企業です。そのような企業は特定技能外国人の採用を通してよりその動きを加速することができるのではないかと考えています。

 ”転職可” という制度の効果は数年後にも表れてくるとみています。転職可にもかかわらず、しかも通算5年しか日本で仕事できないにもかかわらず(期間限定ですので外国人の心理としてはなるべく労働条件、労働環境がいいところで仕事がしたいという思いになります)同じ会社で働き続けている、または特定技能外国人が増えているということは、その会社の条件がいい、働きやすい、働き甲斐があるなどの何らかの魅力があるということになるかと思います。そのため、日本人求職者にとっても特定技能外国人の有無・定着率などは就職先の労働環境の良さを判断する一つの指標として広がっていくのではないか、と予想しています。とくに宿泊業や外食業は(コロナの影響を最も大きく受けている業界ではありますが)、今後の採用戦略(日本人スタッフの採用も含めた採用戦略)の一つとして特定技能外国人の活用を積極的に検討いただければと思います。

 特定技能が導入されて1年が経ちました。思った以上に広がっていない背景として制度が複雑であること、準備する書類が多く大変なことなどが報道で取り上げられています。確かにそれらの理由も増えていない一因ではありますが、これまでのコラムをお読みいただくと別の本質的な理由もあることにお気づきになられたかと思います。特定技能の制度は活用できる企業を選ぶ、人手不足だからという理由だけで活用できるわけではない、ということです。北陸3県ですでに許可が出ている企業をいくつか存じ上げていますが、この制度の本質を見極めて上手に活用しておられます。特定技能外国人を採用することは働きやすい職場であることの証明ともなります。そしてそれは日本人の採用力アップにもつながります。特定技能制度は、直面する人手不足対策としてだけでなく、働き方改革の加速ツールとして、また日本人の採用を増やすためのツールとして活用することで非常に効果的・効率的な投資になりえます。14の特定産業分野に属する企業、特にサービス業や現場作業が多い業種の場合は、ぜひ特定技能外国人の採用の検討をお勧めしたいと思います。

 まだまだお伝えしたいことはあるのですが、特定技能に関するシリーズはいったんここまでにしたいと思います。次回以降は最もメジャーな就労系在留資格(就労ビザ)である「技術・人文知識・国際業務」についてお伝えしてきます。この在留資格については今年の春に大幅な運用変更がありました。今後大卒レベルの外国人材の採用を検討しておられる企業にとっては採用戦略に、すでに雇用しておられる企業にとっては人事戦略に影響を与える変更ですのでそのあたりをシリーズでお伝えしていきます。

 お読みいただきありがとうございました。

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